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はじめに

 
製品を導入/運用していく中で状況によって様々な問題が発生することがあります。そうした問題に対しては可能な限り早く「現象を回避する」「原因を追究する」ことが求められますが、そのためには発生している現象を正確に把握し、問題の影響範囲や要因を絞り込む必要があります。サポートセンターにお問い合わせいただいた場合、まずは「状況のヒアリング」「問題の切り分け」をご案内させていただきます。
 
しかし、 サービスリクエスト(以下、SR )を起票する際、事前に問題を切り分けて状況を整理することで、サポートセンターとのやり取りをする回数、調査にかかる日数を短縮する効果が期待できます。また、問題の発生状況を正確にご申告いただくことは、類似/既知事象の有無を探すうえでも有益な情報です。場合によっては切り分けの過程で原因が判明する可能性もあります。

サポートエンジニアから問題解決までの道すじをお伝えする上でも、正確な状況を確認いただくことは重要なポイントです。

そのため、問題が発生した場合は以下のポイントを押さえつつ状況を整理し、切り分け結果などの情報をサポートセンターへお問い合わせいただくようご協力をお願いします。
 

SR 起票時のポイント

 

発生している現象の確認ポイント

 

【 SR 起票時のポイント】

 

1: 基本的な環境情報の入力について

お問い合わせ対象の製品バージョン、ビルド、製品をインストールしている OS 情報は予めご連絡ください。
 
また状況に応じてネットワーク構成図もお送りください。こうした情報はトラブルシュートに必要な基本的な情報です。SR に関連するファイルを送付した場合はお問い合わせ内容にもファイルを送付した旨の記載もお願いいたします。
 
情報がそろっていない場合は、サポート担当のエンジニアがヒアリングをおこないますので、その分、対応スピードも遅くなります。  
お問い合わせいただく際、正しい製品名、バージョン情報をフォームに入力いただくことで確認する工数の削減にもつながります。Windows 10 環境でのお問い合わせにはビルド情報も必要ですので事前にご確認ください。

Trend Micro Apex One の製品情報 (ビルド、パターンバージョン、アクティベーションコードなど) 確認方法
OS のバージョン確認手順
各種操作手順 

 

  • <悪い例>
    現象が発生している環境:Apex One セキュリティエージェントをインストールした端末
  • <良い例>
    現象が発生している環境:Apex One セキュリティエージェント ビルド 10101 をインストールした Windows10 Professional 21H2 ビルド 19044 環境
 

2: ウイルスケースのお問い合わせについて

状況に応じて必要情報が異なりますが、まずはお問い合わせの背景を記載の上、検出ログ、実際に検出された隔離ファイルをもとに SR を起票してください。
 
処理結果や検出ログの確認方法については製品の処理結果の確認および対処方法をご参照ください。
 

3: 一つの SR で複数の質問をしない

一つの SR では一つのお問い合わせを対応させていただきます。同一環境で複数の問題が発生していても、必ずしも同じ原因で発生している問題とは限らず、調査に必要な切り分けや情報が異なるため SR の分割をお願いする場合がございます。
 
また、独自に作成された質問をまとめたファイルを送付して、ファイルに記載の各質問事項についてエンジニアが回答を記入し返信する、といった対応もできかねます。複数質問がある場合はご質問ごとに SR を起票してください。
 
  • <悪い例>
    質問については添付ファイルを確認してください。なお、1~3 の質問については大至急回答してください。
  • <良い例>
    Apex One セキュリティエージェントをインストールした端末で「xxxx」というエラーが発生し、パターンファイルの更新に失敗します。同端末ではこの他にも Apex One サーバからの設定が反映されない問題を確認していますが、まずはパターン更新の問題について優先解決を希望します。設定が反映されない問題は別途 SR を起票します。
 
 

4: 業務影響、ビジネスインパクトについて

お問い合わせ内容によっては、業務影響が出ていたり早期の問題解決を希望される場合があるかと思います。その際は、どのような理由で急いでいるのか、どのようなインパクトがあるかを具体的に記載してください。同一環境で複数の問題が発生している場合は、解決してほしい問題の優先順位をつけてお問い合わせいただくようご協力をお願いします。また、お時間を指定いただいても回答時間についてはお約束できかねますのでご了承ください。
 
  • <悪い例>
    【大至急】3時間以内に回答してください。
  • <良い例>
    本現象によって全端末でパフォーマンス遅延が発生しています。全社の業務に影響が出ている状況なので、取り急ぎ回避方法を教えてください。
 

5: お問い合わせの目的、解決してほしいことを記載する

認識のずれが発生することを防ぐためにも、どのようなソリューションを提供してほしいのか、今直面している課題は何かを具体的に記載するようお願いします。
 
また、現象の改善を優先するのか、問題を調査して原因特定を希望するのかについても記載するようお願いします。
 

6: お客様環境における独自の用語などは使用しない

  • <悪い例>
    A 拠店の在庫管理システムで問題が発生しました。
  • <良い例>
    Apex One セキュリティエージェントをインストールした Windows Server 2016 環境で「xxxx」というエラーが発生します。
 

7: 他社製品の動作で発生する問題の場合

他社製品やお客様環境で独自に作成されたアプリケーションの操作時に発生する問題は、エラーの発生元であるアプリケーション側で調査をおこないます。
 
アプリケーション側の調査結果で、弊社製品に起因する問題であることが判明した場合には、調査結果とともに、製品のバージョン情報や現象再現の手順をスクリーンショットで取得し、サポート窓口のエンジニアにも客観的に状況がわかるようご協力をお願いします。他社製品で発生している問題について弊社では製品動作を把握できないものが多いため、可能な限り詳細な情報をご提供ください。
 
また、弊社製品の中には他社製の機能(例:SQL Server など)を利用しているものもありますが、サポート窓口からご案内できるものは、インターネット上に公開されている一般的な情報です。ご案内可能な情報には限りがございますので、他社製品の機能に関する詳細については開発元に確認をお願いする場合もございます。予めご了承ください。
 

8: スタンダードサポートからプレミアムサポートへ対応を切り替えた場合

お問い合わせ当初はスタンダードサポートで対応されていた内容をプレミアムサポートへ切り替える場合は、これまでの対応状況を踏まえて新規 SR をご登録いただくようお願いいたします。
  • <悪い例>
    スタンダードケースXXからの切り替えをお願いします
  • <良い例>
    スタンダードケースXXからの切り替えをお願いします。
    XXでYYの事象が発生しています。また、スタンダードケースXXの対応により、ZZを確認しましたが解消されていません。

9: 問題が解決した場合

サポートエンジニアからの回答を得て、お客様の課題が解決した場合、 SR 上で解決した旨をご記載いただき、クローズいただくようお願いいたします。ご案内したソリューションの有効性が確認できた場合など、類似事例をご案内する際の情報の精度向上にもつながります。 
また、エンジニアの対応品質向上のため SR クローズ時のアンケートにもご協力いただけますと幸いです。
 

【発生している現象の確認ポイント】

 

1: どういう現象が発生しているのか

まずは「どういった現象が発生しているか」を把握します。
エラーメッセージが表示される場合は、エラーの内容を最初から最後まで正確に控えておきます。エラー番号も書かれている場合は併せて記録します。(可能な限りスクリーンショットを取得すること推奨します。スクリーンショットが取得できない場合は、メッセージの内容がわかるようデジタルカメラで撮影した画像でもかまいません。)
 
環境情報に加えて正確なエラーメッセージの情報があれば、サポートエンジニアにも状況がクリアに伝わり、問題を早期に解決できる場合があります。

[現象の説明例]
 
  • <悪い例>
    アップデートに失敗します。
  • <良い例>
    Apex One セキュリティエージェントで「手動アップデート」を実行するとエラーメッセージが出て処理に失敗します。エラー発生時のスクリーンショットを添付しますので、対処方法を教えてください。
 
  • <悪い例>
    Apex One のバージョンアップをおこなったらエラーが発生しました。
  • <良い例>
    Apex One サーバに Critical Patch xxxx を適用してバージョンアップを試みたところ「xxxx」というエラーが発生しました。複数台ある Apex One サーバのうち、このエラーが発生したのは1台のサーバのみです。
 

2: どのタイミングで発生する現象なのか

何らかの操作でエラーメッセージが表示される場合は「エラーを発生させる操作」を把握することが重要です。操作手順を順序だてて記載することで、どこの段階で問題が発生するのかエラー発生時の状況がより分かりやすく伝わります。
 
製品 Q&A や管理者ガイドにある手順を参照している場合には、併せて記載してください。
 
 
[タイミングの説明例]
 
  • <悪い例>
    何をやっても状況が改善されません。
  • <良い例>
    製品 Q&A(https://success.trendmicro.com/jp/solution/xxxxxxx)の手順x. でエラーが発生します。
 
  • <悪い例>
    セキュリティーアップデートのエラーが発生しました。診断パッケージとシステムイベントをお送りします。
  • <良い例>
    セキュリティーアップデートのエラーが YY/MM/DD hh:mmに発生しました。システムイベントのYY/MM/DD hh:mmにDSA/DSRにてエラーを確認しました。現在ネットワーク疎通は問題は発生していません。診断パッケージとシステムイベントとネットワーク疎通を確認した結果をお送りします。

3: いつから発生している現象で、正常に動作していた時期はあるのか

 
どのような経緯で現象が発生したのかも重要な情報です。「製品をインストールした当初から発生していた問題」と「正常に動作していたものが、ある時を境に発生するようになった問題」では大きく状況が異なります。

特定の時期から発生している現象であれば、その時期に何があったのか、何を行ったかを調べることで、原因を絞り込める可能性があります。
 
環境/設定の変更後から発生している現象であれば、変更した内容を共有いただくことで問題解決を早める場合があります。
 
[発生時期の説明例]
 
  • <悪い例>
    Apex One セキュリティエージェントをインストールした端末でエラーが発生します。
  • <良い例>
    Apex One セキュリティエージェントを ビルド xxxx へバージョンアップして以降、「手動アップデート」時に添付したエラーメッセージが表示されるようになりました。
 
  • <悪い例>
    問題発生後、xxとyyをしましたが一時的にしか効果がありませんでした。
  • <良い例>
    これまでの状況は次の通りです。
    〇月〇日 hh:mmころ事象が発生。
    〇月×日 hh:mm頃にxxを実施したところ一時的にエラーは解消した。
    〇月×日 hh:mm頃にエラーが再発し、yyを実施したがエラーは解消せず。

     

4: 現象の影響範囲を把握する

問題の影響範囲を把握する場合の一例として、Apex One  はサーバ/エージェント型のアプリケーションです。問題が発生した場合、サーバ/エージェントのどちらに問題があるのかはトラブルシュートをおこなう上でも重要な情報です。 
 
例えば、サーバ側に問題がある場合、その配下の全てのコンピュータで問題が発生する可能性が高まります。一方、正常に動作しているエージェントが存在する場合、エージェント側や特定のネットワーク環境に原因がある可能性が高まります。
 
エージェント側の問題であっても「全台で発生している現象なのか」、「複数台、単体のエージェントでのみ発生する現象なのか」はお問い合わせの前にご確認ください。
 
「複数台、単体のエージェントでのみ発生する現象」であれば全体の端末数と問題の発生している端末数を記載してください。この時、正常環境との違いについても確認することで問題解決につながる可能性があります。
 
 
[発生台数の説明例]
 
  • <悪い例>
    2,3台の端末で同じような現象を確認しました。
  • <良い例>
    現象を確認している端末は100台中20台で、他は現象が発生しない端末です。「現象発生環境」と「正常環境」の違いは、以下のとおりです。
     
    1.xxxx
    2.xxxx
    3.xxxx
 

5: 現象の再現性はあるか

「1回しか発生しない現象なのか」、「継続的に発生する現象なのか」など再現性の有無を調べることも重要です。製品動作以外の要因で特定の時期にのみ発生した現象なのか、製品が根本的に抱えている問題なのかを把握することで調査の方向性を探る事が可能です。
 
また、再現性がある場合には再現頻度についてもお知らせください。(5回操作で2回発生 等)
 
[再現性の例]
 
  • <悪い例>
    たまにエラーが発生します。
  • <良い例>
    OS 起動時に発生する現象であることを確認しています。しかし、常に発生するわけではなく、5回中2回の頻度で発生します。
 
  • <悪い例>
    どのようなタイミングで発生するかはわかりません。
  • <良い例>
    不定期に発生する現象ですが、確認する限り OS 再起動後、2~3日後くらいの時間が経つと発生する現象のようです。