本製品Q&Aでは、2019 年 2 月に実装されたライティングスタイル分析の機能についてご説明いたします。
ライティングスタイル分析とは?
ビジネスメール詐欺 (BEC) では会社役員などの高プロファイルユーザが標的となります。Cloud App Security では、偽装される可能性のある高プロファイルユーザのライティングスタイルモデルを学習し、ユーザ本人が作成したメールメッセージであるかを機械学習の結果に基づき判定します。
ライティングスタイル分析を有効にするには?
ライティングスタイル分析による BEC 検出を有効にする場合は、高プロファイルユーザのメール表示名とメールアドレスを登録したうえで、高度な脅威対策のポリシーでライティングスタイル分析機能を有効化します。
1. 高プロファイルユーザを追加する
BEC 検出の対象となる高プロファイルユーザを登録します。
[運用管理] > [グローバル設定] > [高プロファイルユーザ] を開き、ユーザ単位またはグループ単位で高プロファイルユーザの情報 (姓、名、およびメールアドレス) を登録します。グループで登録した場合、グループ内のユーザが全て登録されます。
※最大 500 ユーザを追加できます。
※ライティングスタイル分析を使用する場合はメールアドレスが必須となります。
2. ライティングスタイル分析を有効にする
ライティングスタイル分析の機能を有効化するには、Exchange Online の高度な脅威対策のポリシーの [高度なスパムメール対策] を開き、[ライティングスタイル分析によるBEC検出] の設定から「ライティングスタイル分析を有効にする」にチェックを入れます。
その他、以下のオプションを設定できます。
■処理
検出したメッセージに対する処理を以下の3つから選択できます。
・件名にタグを挿入
メールメッセージの件名の前にタグ (キーワード) を追加し、BEC 攻撃の可能性があることを受信者に通知します。
・ディスクレーマーの追加
メール本文の冒頭にディスクレーマーメッセージを追加し、BEC 攻撃の可能性があることを受信者に通知します。
・放置
検出ログに記録して、メッセージを変更せずに配信します。
■偽装された可能性のある送信者に通知する
このオプションを有効にすると、自身に偽装された可能性のあるメッセージが配信されたことを対象の高プロファイルユーザに通知します。
[フィードバックの送信を許可する] のオプションを有効にすると、自分が送信したメッセージであったかどうかのフィードバックを対象の高プロファイルユーザに許可します。この操作は、メールメッセージに対して実行するよう設定された処理には影響しませんが、ライティングスタイル分析の機能向上に役立ちます。
■管理者に通知する
このオプションを有効にすると、ライティングスタイル分析による BEC 検出時に Cloud App Security の管理者へ通知メールが送信されます。
※管理者が通知メッセージを受信するかどうかは、ポリシー内の [通知] の設定に関わらず、ここで指定した設定に従います。
3. ライティングスタイルの学習ステータスを確認する
上記 1 および 2 の設定後、Cloud App Security は高プロファイルユーザのライティングスタイルの学習を開始します。学習ステータスは、[運用管理] > [グローバル設定] > [高プロファイルユーザ] から確認することができます。
[ライティングスタイルの学習ステータス] が「完了」になると、ライティングスタイル分析による BEC 検出が可能になります。
※高プロファイルユーザの送信済みアイテムフォルダ内のメールを元に学習します。
※ステータスが「完了」になるまで最大で 800 通程度のメールが学習のために必要となります。
ライティングスタイル分析の対象から除外するには?
高プロファイルユーザが Cloud App Security で保護されていない用途の異なるメールボックスを複数持っていたり、メールメッセージを作成する際に目的に応じてライティングスタイルを変えたりする場合、ライティングスタイル分析による誤検出が発生する可能性があります(プライベートのメールアドレスから送信した場合や、システムがメールメッセージを自動生成した場合など)。
このようなメッセージをライティングスタイル分析の対象から除外するには、以下のいずれかを設定します。
1. 高プロファイルユーザの除外リストに登録する
[運用管理] > [グローバル設定] > [高プロファイルユーザの除外リスト] から、 ライティングスタイル分析の対象から除外するメッセージの差出人のメールアドレスを登録します。
2. 高度なスパムメール対策の承認済み送信者リストに登録する
Exchange Online の高度な脅威対策のポリシーの [高度なスパムメール対策] を開き、[承認済み/ブロックする送信者リスト] の設定から、ライティングスタイル分析の対象から除外するメッセージの差出人のメールアドレスを承認済み送信者リストに登録します。
※承認済み送信者リストに登録したメールアドレスから受信したメッセージは、ライティングスタイル分析だけでなく、スパムやフィッシングの検索からも除外されます。