InterScan Messaging Security Virtual Appliance (IMSVA) では MTA の機能として Postfix を使用しています。配送先メールサーバに接続できないなど、遅延キュー (deferred キュー) に保存されたメッセージは、設定ファイル main.cf に記載された以下のパラメータにしたがって再送されます。
queue_run_delay = 900s minimal_backoff_time = 900s maximal_backoff_time = 3600s maximal_queue_lifetime = 1d bounce_queue_lifetime = 0
パラメータ | 初期設定値 | 説明 |
---|---|---|
queue_run_delay | 900s (15分) | キューマネージャ (qmgr) がキューをチェックする間隔 |
minimal_backoff_time | 900s (15分) | 初回の再送までの間隔 (queue_run_delay の設定値以上でなければならない) |
maximal_backoff_time | 3600s (1時間) | 最大の再送間隔 |
maximal_queue_lifetime | 1d (1日) | キューに保存され、再送を試みる期間 (生存期間) |
bounce_queue_lifetime | 0 (再送されず、削除) | 配信不能通知 (バウンスメール) など、送信者が null ("<>") のメッセージに対する保存期間 (生存期間) |
bounce_queue_lifetime の値は初期設定で "0" に設定されており、バウンスメールなどの配送に失敗した場合は再送されずに削除されます。必要に応じて "1d" (1日) などに設定してください。
なお、IMSVA 9.1 ではビルド 1978 (b1978) 以降、bounce_queue_lifetime の初期設定値が "0" から "1d" に変更されます。
設定の変更手順
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IMSVA サーバに root でログインし、Postfix の設定ファイル /opt/trend/imss/postfix/etc/postfix/main.cf を vi で開きます。
後述の再送動作を参考の上、必要に応じて上記パラメータを任意の値に変更してファイルを上書きで保存します。
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設定ファイル編集後、以下のコマンドを実行して設定を反映します。
# postfix reload
Postfix と InterScan MSS 7.1/7.5 Windows版 ではメールサーバとして仕様が異なるため、IMSVA と InterScan MSS 7.1/7.5 Windows版 で同一の動作になるよう設定することはできません。
再送の動作
初期設定では遅延キューのメッセージは次のように処理されます。
時間 | 説明 | |
---|---|---|
9:15 | 配送できず遅延キューに保存される | |
9:20 | qmgr がキューをチェック | 配送の失敗から5分しか経っていないため、今回は何もしない |
9:35 | qmgr がキューをチェック | 配送の失敗から15分以上 (minimal_backoff_time) 経っているため、最初の再送を試みる |
9:50 | qmgr がキューをチェック | 2度目の配送までの間隔は minimal_backoff_time の2倍 (30分) となり、前回の再送から30分経過していないため、今回は何もしない |
10:05 | qmgr がキューをチェック | 前回の再送から30分以上経過したため、2度目の再送を試みる |
10:20 | qmgr がキューをチェック | 3度目の配送までの間隔は前回 (30分) の 2倍 (60分) となり、前回の再送から60分経過していないため、今回は何もしない |
11:05 | qmgr がキューをチェック | 前回の再送から60分以上経過したため、3度目の再送を試みる |
11:20 | qmgr がキューをチェック | すでに再送間隔が maximal_backoff_time の値 (1時間) に達しているため、以後、次の配送までの間隔は60分となり、前回の再送から60分経過していないことから、今回は何もしない |
12:05 | qmgr がキューをチェック | 前回の再送から60分以上経過したため、4度目の再送を試みる |
13:05 | qmgr がキューをチェック | 前回の再送から60分以上経過したため、5度目の再送を試みる |
14:05 | qmgr がキューをチェック | 前回の再送から60分以上経過したため、6度目の再送を試みる |
... | ||
(翌日) | ||
... | ||
9:05 | qmgr がキューをチェック | 前回の再送から60分以上経過したため、25度目の再送を試みる |
10:05 | qmgr がキューをチェック | 前回の再送から60分以上経過したため、26度目の再送を試みるが、配送に失敗した場合、キューの生存期間 (maximal_queue_lifetime) である1日を超えたため、メッセージはバウンスし、送信元に配信不能通知 (バウンスメール) が送信される |