「セキュリティアップデート」には、侵入防御などのルールのアップデートも含まれますが、本製品 Q&A では、パターンファイルなどの「コンポーネント」のアップデートに的を絞って解説を行っています。
コンポーネントアップデートの動作の流れ
ヒント (上図赤線部分)
Deep Security Manager (以下、DSM) で「Deep Security Relayが使用できない場合、Agent/Applianceにセキュリティアップデートのダウンロードを許可」オプションが有効になっていると、DSA/DSVA が DSR に接続ができない場合はアップデートサーバに直接接続します (アップデートサーバに接続するまで、DSR への接続試行は 3 回行われます)。
ただし、セキュリティアップデートが DSR を含む形 (例. すべてのコンピュータを対象とした予約タスクによるセキュリティアップデート) で行われる場合は、DSR が停止しているとアップデートサーバへの直接接続は試行されません。
上図および以下の流れは、コンポーネントのアップデートの一般的な流れを示しています。アップデートが開始されるタイミングなどによっては、実際の流れが一部本製品 Q&A と異なる場合があります。
Step 1 iAU から DSR へのアップデート
- DSM によってセキュリティアップデートが開始され (予約タスクや [セキュリティアップデートのダウンロード...] の実行などにより)、DSR にその旨が通知されます。このタイミングで、次のシステムイベント「イベントID 1600 : Relayグループのアップデートの要求」が記録されます。
- DSR が iAU に接続し、セキュリティアップデートを行います。管理コンソールの [管理] → [システム設定] → [アップデート] タブの「プロキシサーバ」にプロキシ設定が行われている場合は、プロキシを経由してアップデートを行います。
ヒント
iAU からのアップデートがタイムアウトによって失敗する場合、以下製品 Q&A を参照し、タイムアウトやリトライの設定を変更してください。
- DSR で iAU からのアップデートのダウンロードが正常に完了すると、次のシステムイベント「イベントID 1601 : Relayグループのアップデートの成功」が記録されます。
Step 2 DSR から DSA/DSVA へのアップデート
- DSM から DSA/DSVA に対し、セキュリティアップデートを実施するよう通知されます。このタイミングで、次のシステムイベント「イベントID 273 : セキュリティアップデート: セキュリティアップデートの確認とダウンロード要求」が記録されます。
ヒント
[管理] → [アップデート] → [アップデート] タブの [セキュリティアップデートのダウンロード...] の実行ではなく、DSA/DSVA を対象とした予約タスクによりセキュリティアップデートが試行された場合、1. の「ID 1600 : Relayグループのアップデートの要求」と同じタイミングで記録されます。
- DSA/DSVA はライセンスの有効期限を確認します。「不正プログラム対策と Web レピュテーション」ライセンスの期限が切れている場合、コンポーネントのアップデートを行うことはできません (上記ライセンスの有効期限が切れている場合でも、侵入防御などのルールのアップデートには影響しません)。
- 現在のコンポーネントのバックアップ (スナップショット) を採取するため、以下フォルダ配下のすべてのファイルを、バックアップ先のフォルダにコピーします。
- コピー元 (Windows) : [インストールフォルダ]\lib
- コピー先 (Windows) : [インストールフォルダ]\li_copy
- コピー元 (Linux/DSVA) : /var/opt/ds_agent/lib
- コピー先 (Linux/DSVA) : /var/opt/ds_agent/li_copy
- DSR からアップデートの取得を行います。アップデート処理中に、DSA/DSVA から受信した現在のコンポーネント情報と DSM が取得した新たなコンポーネント情報の間に差異がある場合、次のシステムイベント「イベントID 276 : アップデート: 概要情報」が記録されます。
ヒント
アップデート中にウイルス検索が行われている場合でも、検索動作への影響はありません。
- コンポーネントのアップデートに成功したら、ロールバック用フォルダ li_roll を削除し (すでに存在する場合)、li_copy フォルダを li_roll にリネームします。コンポーネントのアップデートが無かった場合は、li_copy をそのまま削除します。
- すべてのアップデート処理が完了したら、次のシステムイベント「イベントID 784 : セキュリティアップデート: セキュリティアップデートの確認とダウンロード成功」が出力されます。
アップデート失敗に関するトラブルシューティング
Deep Security アップデート失敗に関するトラブルシューティングのYoutube動画解説
DSR/DSA/DSVA それぞれでよくある問題とトラブルシューティングの方法についてYoutubeでご紹介しています。
詳しくは、こちらの動画をご確認ください。Youtubeでご紹介した内容につきましては、下記からもご確認いただけます。
よくある問題とトラブルシューティング (DSR)
Cloud One - Endpoint and Workload Security(以下、C1EWS)をご利用のお客様で弊社管理のDSRをご利用の場合は、
DSR起因のトラブルシューティングをお客様にて実施いただく必要はございません。
C1EWSのDSRについてはこちらをご確認ください。
アップデートサーバに接続できない
C1EWSをご利用のお客様で弊社管理のDSRをご利用の場合は、本項の確認は不要となります。
アップデートサーバの更新処理タイミングに合致している
Err yyyymmdd hh:mm:ss 2272 1592 HttpsConnection: Server Error: HTTP 503 Service Unavailable
Err yyyymmdd hh:mm:ss 2272 1592 TmDownloader: Service is under maintainence
TmuDump.txt のパスは下記の通りです。
Windows : "%ProgramFiles%\Trend Micro\Deep Security Relay\lib\iaulogs\"
Linux : "/var/opt/ds_agent/lib/iaulogs/"
C1EWSをご利用のお客様で弊社管理のDSRをご利用の場合は、TmuDump.txtを確認することができません。
よって本項の確認は不要となります。
重複したアップデート (Busy with exisiting update)
よくある問題とトラブルシューティング (DSA/DSVA)
アップデート用キャッシュファイルの破損
- DSAのサービスを停止します。
-
[iaurepo]フォルダ配下の全てのファイル・フォルダを削除します。
Windows版DSA:%ProgramData%\Trend Micro\Deep Security Agent\iaurepo
※ Windowsの初期設定で、%ProgarmData%は隠しフォルダになっていますので、[ファイル名を指定して実行]から%ProgarmData%と入力して該当フォルダを開きます。
Linux版DSA : /var/opt/ds_agent/iaurepo
- DSAのサービスを開始します。
DSRからのアップデートに必ず失敗する
- DSM の管理コンソールにログインし、[コンピュータ] タブを選択します。
- 既に DSR が有効化されている場合、対象の DSR を選択した状態で、上部のメニューバーから [処理] → [無効化]を選択します。
- [新規] → [新規コンピュータ] を選択し、「ホスト名」欄に DSM/DSA/DSVA から通信可能なホスト名 (FQDN) または IP アドレスを入力して [次へ>] をクリックします。
C1EWSをご利用のお客様で弊社管理のDSRをご利用の場合は、本項の確認は不要となります。
DSRへ接続するためのプロキシを設定する方法については、以下の製品Q&Aをご参照ください。
現在登録されているDSRの名前では、一部のDSA/DSVAが名前解決ができない場合もしくは、DSA/DSVAから到達不可能なIPアドレスで登録されている場合、[コンピュータ]画面からDSRをダブルクリックしてDSRのホスト名をDSA/DSVAが解決できるホスト名(またはFQDN)、もしくはDSA/DSVAから到達可能なIPアドレスに変更します。
C1EWSをご利用のお客様で弊社管理のDSRをご利用の場合は、ポート番号、URL、およびIPアドレス記載の宛先の疎通に問題ないかご確認ください。
クラウドコネクタから連携されている場合、DSRのホストがグレーアウトして、上述の手順によってホスト名を変更できません。
その場合、[管理]-[システム設定]-[詳細]画面の「ロードバランサ」枠内にある「ロードバランサのRelayホスト名」へDSA/DSVAが解決できるホスト名(またはFQDN)、もしくはDSA/DSVAから到達可能なIPアドレスを登録します。
C1EWSをご利用のお客様で弊社管理のDSRをご利用の場合は、本項の確認は不要となります。
DSR とアップデートのタイミングが重複している
イベント:Relay Webサーバの無効化
説明:Relay Webサーバが無効になっています。
失敗時のエラーメッセージに「IAU_STATUS_FILE_EXISTS」が表示される
[2014-May-28 06:39:39 4467|1085278544] [app] Merge [src/common/src/rtpatch_merger.cpp(129)]
End Rtpatch Merge, result: IAU_STATUS_SUCCESS[0(0,0,0)]
[2014-May-28 06:39:39 4467|1085278544] [app] GetPackages [src/core/src/context.cpp(802)]
Succeed to get update packages, start to install.
[2014-May-28 06:39:41 4467|1085278544] [err] Install [src/common/src/remote_package.cpp(199)]
Dynamic exception type: boost::filesystem3::filesystem_error
std::exception::what: boost::filesystem::copy_file: File exists:
"/var/opt/ds_agent/lib/iaudata/iaudata5a/temp/3PAgPcpP/ssaptn.511", "/var/opt/ds_agent/lib/resource/c3t536871936/151100/ssaptn.511"
Path1: /var/opt/ds_agent/lib/iaudata/iaudata5a/temp/3PAgPcpP/ssaptn.511
Path2: /var/opt/ds_agent/lib/resource/c3t536871936/151100/ssaptn.511
[2014-May-28 06:39:41 4467|1085278544] [app] Update [src/core/src/context.cpp(487)]
Update finished with result : IAU_STATUS_FILE_EXISTS[-1073610747(3,2,5)]
失敗時のエラーメッセージに「IAURELAY_STATUS_NOT_AVAILABLE(-18)」が表示される
Deep Security Agentのアップグレード後に失敗する
これはDSRのバージョンがDSAよりも新しいことが要件であるためです。
詳細はこちらを参照ください
同時刻に複数のセキュリティアップデートタスクを開始した場合に実行されないタスクがある
C1EWSをご利用のお客様で弊社管理のDSRをご利用の場合は、本項の確認は不要となります。
証明書の不足による問題
本システムイベントのメッセージは必要な「ルート証明書」が不足し、不正プログラム対策機能のアップデートなどで問題が発生した場合に記録されます。
システムイベントの例:
--------------------------------------------------
不正プログラム対策コンポーネントアップデートの実行中に障害が発生しました。Agent/Applianceイベントで原因を確認してください。
Agent/Applianceイベント:
時刻: 20xx-xx-xx xx:xx:xx
レベル: エラー
イベントID: 9017
イベント: 不正プログラム対策コンポーネントのアップデート失敗
説明: 不正プログラム対策コンポーネントのアップデート中に障害が発生しました。
エラーコード: 11
エラーメッセージ: AMSP error code (0xe0220019) AMSP_UPDATE_FAIL_SWITCH_INTERFACE
--------------------------------------------------
この場合、下記のページに従いまして証明書をインポートしてください。
ログ関連
ファイル名 | 説明 |
---|---|
TmuDump.txt | アップデートサーバや DSR など、アップデート元との接続情報を主に記録したログ。 |
iau.log | DSA/DSVA がアップデートを行う際のプロセスを記録したログ。DSR がインストールされたサーバには、iau.log と iaurelay.log の両方が存在します (DSR 内には Relay サーバとしての役割と Agent としての役割 (DSA) が存在するため)。 |
iaurelay.log | DSR がアップデートを行う際のプロセスを記録したログ (DSA/DSVA には存在しません)。 |
ヒント
Windows 版 DSR/DSA の場合、以下フォルダにも TmuDump.txt, iau.log が存在します。Windows 版の場合、Web レピュテーション用のエンジン以外のコンポーネント (ウイルス検索エンジンやパターンファイルなど) は、Anti-Malware Solutions Platform (AMSP) によってアップデート処理が行われます (DSA は自身がアップデートプロセスを行うだけでなく、AMSP に対しアップデートプロセスを行うよう指示します)。そのため、Windows 版の場合はこちらにある TmuDump.txt と iau.log も採取してください。
- %ProgramFiles%\Trend Micro\AMSP\debug\7
問題が解決しない場合
ヒント
事象の発生が一回のみの場合、一時的な問題である可能性が考えられます。次回以降のアップデートに成功している場合は、様子見として頂くことを推奨します。また、デバッグログが採取されていない場合、サポートセンターにお問い合わせ頂いても原因の特定ができない場合があります。あらかじめご了承ください。
関連リンク
- 最新版ダウンロードページ ([統合サーバセキュリティ対策] のセクションをご覧ください)
- アップグレード手順 (修正プログラム/最新Patchの適用方法)
- Trend Micro Deep Security が作成するログファイルとその概要
サポートエンジニアが問い合わせ傾向を元にDeep Securityを安心してお使いいただくための情報をWelcome Page(DS/C1WS)にまとめました。
Welcome Page(DS/C1WS)で機能概要や、事前準備から運用開始までに必要なステップ、運用のコツをぜひご確認ください!