TMEmS/V1ECS は一般的には次のような配送経路上に配置されます。
- 受信保護 (外部から内部宛)
- 送信者のメールサーバ → TMEmS/V1ECS → ユーザのメールサーバ → メールボックス
- 送信保護 (内部から外部宛)
- メールクライアント → ユーザのメールサーバ → TMEmS/V1ECS → 受信者のメールサーバ
受信保護において TMEmS/V1ECS のメールサーバからユーザのメールサーバ (ドメイン設定の「受信サーバ」に指定されているメールサーバ) にメッセージを配送する際、または送信保護において TMEmS/V1ECSのメールサーバから受信者のメールサーバにメッセージを配送する際、以下のような理由でメッセージを配送できなかった場合には TMEmS/V1ECS のメールサーバはいったんキューにメッセージを保存し、再送を試みます。
- 配送先メールサーバのメンテナンスや障害で配送先メールサーバに接続できなかった
- 配送先メールサーバに接続後、接続が切断された
- 配送先メールサーバに接続後、タイムアウトで接続を切断した
- 配送先メールサーバに接続後、配送先メールサーバが 4xx の応答を返し、メッセージの受信を一時的に拒否した
配送先メールサーバが 5xx の応答を返し、メッセージの受信を恒久的に拒否した場合、メッセージは即座にバウンスされるため、キューにメッセージは保存されません。この場合、TMEmS/V1ECS のメールサーバはメッセージを削除し、配信不能通知 (バウンスメール) をメッセージの送信者宛に送信します。
キューの保存期間と再送間隔
メッセージがキューに保存される期間は最長で受信保護では 10日間、送信保護では 1日間 です。
TMEmS/V1ECS のメールサーバはメッセージがキューに保存されているあいだ、以下の間隔で配送先メールサーバに再送を試みます。最初の1時間を除き、およそ1時間に1回の間隔で再送が行われます。
1回目の再送: 初めて配送に失敗してから 300秒 (5分) 経過後
2回目の再送: 1回目の再送に失敗してから 600秒 (10分) 経過後
3回目の再送: 2回目の再送に失敗してから 1200秒 (20分) 経過後
4回目の再送: 3回目の再送に失敗してから 2400秒 (40分) 経過後
5回目以降の再送: 前回の再送に失敗してから 4000秒 (1時間強) 経過後
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TMEmS/V1ECS のメールサーバはキューの監視間隔にしたがってキューに保存されているメッセージをチェックして再送するため、実際に再送されるタイミングは少しずれます。
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メッセージが初めてキューに保存されてから 4時間 が経過すると、"Delayed Mail (still being retried)" の件名で送信者に配信遅延通知が送信されます。配信遅延通知が送信されるのはこの1回だけです。
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キューの保存期間を管理コンソールからユーザが任意に変更することはできません。
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キューの最長保存期間は、キューに保存されるメッセージの量に応じて期間が設定されるものではございません。
配送先メールサーバのメンテナンスが完了して配送先メールサーバに接続できるようになるなど、キューの保存期間内 (受信保護では 10日間、送信保護では 1日間) にメッセージを配送できる状況となれば、メッセージは再送のタイミングで配送されて宛先のメールボックスに届きます。しかし、保存期間を超過してメッセージを配送できなかった場合にはメッセージはバウンスされ、TMEmS のメールサーバはメッセージを削除した上で配信不能通知 (バウンスメール) をメッセージの送信者宛に送信します。
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受信保護 および 送信保護の場合において、初回配送時と再送時では利用する MTA が異なるため、使用されるIPアドレスも異なります。
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1回目の再送 と 2回目以降の再送 では、受信保護 と 送信保護の場合で処理方法が異なります。
受信保護の場合:
2回目以降の再送についても、1回目の再送時と同じIPアドレスから送信されます。
送信保護の場合:
2回目以降の再送では、送信保護の再送時の MTA に複数のIPアドレスが存在するため1回目の再送時とは異なるIPアドレスが使用される可能性がございます。
配送先メールサーバ
キューの確認方法
TMEmS /V1ECS ではユーザは TMEmS/V1ECS のメールサーバを共有して使用しており、直接 TMEmS/V1ECS のキューを確認することはできません。しかし、管理者はキューに滞留しているメッセージを管理コンソールの ログ > メール追跡 の画面で検索できます。
具体的には種類に「検索されたトラフィック」、処理に「一時的な配信エラー」を選択して 検索 します。
製品Q&A の こちら のセクションに記載されているとおり、再送のタイミングでメッセージが配送されると処理ステータスは「配信済み」に変更されます。また、最終的にキューの保存期間内に配送できず送信者にバウンスメールが送信された場合、処理ステータスは「期限切れ」に変更されます。
不達メール継続管理
受信保護 (外部から内部宛) においてメッセージの配送に失敗し、メッセージが一時的に TMEmS/V1ECS のキューに保存されている場合、宛先のエンドユーザには自身宛のメッセージがキューに保存されていることがわかりません。
しかし、エンドユーザコンソール にログインできるエンドユーザは不達メール継続管理によって以下の機能を利用できます。
- キューに保存されている (滞留している) 自身宛メッセージの確認
- キューに保存されているメッセージへの返信や転送
- 新規メッセージの送信
不達メール継続管理の有効化
まず不達メール継続管理の機能を利用するには、管理者は管理コンソールの 管理 > 不達メール継続管理 の画面で不達メール継続管理の機能を有効化する必要があります。
初期設定では「初期設定」というレコード (設定) が用意されており、有効化されています。しかし、初期設定ではキューに保存されている自身宛メッセージを確認する機能のみ有効となっており、メッセージに返信したり、新規にメッセージを送信することはできません。エンドユーザが不達メール継続管理においてメッセージを送信できるようにするには、「メール送信を有効にする」にチェックを入れて設定を保存します。
複数のドメインを管理している環境で管理ドメインごとに不達メール継続管理の有効化・無効化を設定するのであれば、[追加] ボタンで各管理ドメインごとに設定を作成してください。不達メール継続管理の設定に関して詳しくはオンラインヘルプ(TMEmS / V1ECS)を参照してください。
不達メール継続管理を利用して送信されるメッセージは送信保護を経由して宛先のメールサーバに配送されます。そのため、不達メール継続管理を利用する場合、ドメインの SPF レコードに必ず TMEmS/V1ECS の SPF レコードをインクルード するよう DNS を設定してください。
不達メール継続管理の利用方法
不達メール継続管理の機能が有効な場合、エンドユーザはエンドユーザコンソールにログインすると、継続管理メールボックス の画面で現在キューに保存されている自身宛メッセージのリストを「受信トレイ」で確認できます。
受信トレイのリストには「差出人」「件名」「受信日時」が表示されており、メッセージをクリックすると詳細画面が表示され、メッセージの内容を詳細に確認することができます。ダウンロードのボタンをクリックすると、メールデータとして保存することも可能です。
また、不達メール継続管理によるメッセージの送信が有効であれば、メッセージの詳細画面からメッセージに返信したり、メッセージを転送できます。
「新規メール作成」をクリックするとメッセージの作成画面が表示され、任意の宛先に新規にメッセージを送信できます。その際、ファイルを添付することも可能ですが、送信するメッセージのサイズの上限は 10 MB です。
送信したメッセージは「送信済みアイテム」の画面で確認できます。
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不達メール継続管理の機能が有効化されていない場合には、継続管理メールボックス の画面を開いても「管理者が不達メール継続管理を有効にしていません。」と表示され、キューに保存されている自身宛のメッセージを確認することはできません。
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「送信済みアイテム」における送信したメッセージの保管期間は 10日間 です。送信してから 10日 が経過するとメッセージは「送信済みアイテム」から削除されます。
そのため、不達メール継続管理によって送信したメッセージのコピーを保存しておくのであれば、ダウンロードのボタンからメールデータとして保存するか、メッセージを作成する際に Bcc にエンドユーザ自身のメールアドレスを指定してメッセージを送信してください。ユーザのメールサーバの問題が解消されてメッセージが配送できるようになれば、Bcc に指定したエンドユーザ宛にもメッセージが配送されます。